若葉が薫る頃となりましたが、皆さま、お元気でお過ごしですか。
さて、今回のトピックのテーマは、歯周病とメタボリックシンドローム、糖尿病、心臓病との関係についてです。
近年、多くの調査から、歯周病が、全身の健康に深く関係していることがわかりました。
その中でも、とくに歯周病とメタボリックシンドローム、糖尿病、心臓病との関係について注目してみましょう。
メタボリックシンドロームとは?
内臓脂肪型肥満(りんご型肥満)に加え、高血糖、高血圧、脂質異常などの動脈硬化の危険因子が2つ以上重なり合った状態をいい、心筋梗塞をはじめ心臓病のリスクが10倍~30倍に高まります。
歯周病とメタボリックシンドロームとのかかわり
メタボリックシンドロームが進んでいる人ほど、歯周病のリスクが高まる。
歯周病は、糖尿病や動脈硬化など、メタボリックシンドロームと関係のある病気とお互いに影響しあっていることがわかっています。
糖尿病や動脈硬化など、歯周病とメタボ関連の病気が、いくつも深くかかわりあっているだけにメタボと歯周病も相互に関係していると考えられています。
実際に、メタボの判定基準に当てはまる数が多いほど、歯周病のリスクが高まるという研究結果があります。
歯周病の予防は、メタボリックシンドロームを防ぐことと深く影響しあっています!
歯周病の予防とケアが大切です!
歯周病は糖尿病の合併症のひとつで、歯周病の重症化が糖尿病を悪化させます。
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くことでからだ中の血管が傷つき、それによって末梢神経や腎臓、目の網膜など、さまざまな器官や臓器に異常が現れ、合併症を伴い死にいたる怖い病気ですが、近年、ますます増加しています。
糖尿病予防の基本は「食事」と「運動」・そしてそれを支えるのが「歯の健康」です。
そして、歯を失う原因の90%がむし歯と歯周病です。
とくに50歳代以降では、歯周病が悪化して歯を失うことが多く、高齢期の食生活に大きな支障をきたします。
自分の歯が少なくなると、あまりかまなくとも食べられる軟らかな食品を摂ることが多くなりますが、軟らかな食品にはブトウ糖やショ糖など、吸収の早い糖質が多く含まれるので、血糖値を急激に上げる危険があります。
一方、かみごたえのある食品には、食物繊維が多く、脂質や糖質の量は少なめで、ゆっくり吸収されるため、血糖値をあげる危険が少ないといわれています。
歯周病が心臓病のリスクを高めることもあります。
歯周病になると、その原因となる細菌が血液中に入り、心臓などに感染をひきおこす場合があります。
心臓の内膜や弁膜に障害のある人にみられる細菌性心内膜炎は、そのほとんどが口の中にいる細菌ですので、予防には口の中を清潔に保つケアが不可欠です。
また、歯周病の原因菌が心臓をとりまく冠動脈に感染すると、毒素や炎症をひきおこす物質が血栓をおこしやすくし、動脈硬化を進行させると指摘されています。
血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの人は、歯周病を予防し、心臓病のリスクを遠ざけたいものです。
よく噛むことのメリット
●肥満を予防
満腹感を得られるので、食べ過ぎの防止になります。
内臓脂肪を燃焼し、無理なくやせます。
●唾液の分泌
大量の唾液が細菌を洗い流し、むし歯・歯周病を予防します。
消化酵素アミラーゼがでんぷんを分解し、消化吸収を助けます。
味覚が敏感になり、食べ物の味がよくわかるようになります。
ペルオキシターゼ等の酵素が食品中の発がん性物質を抑えます。
明るい表情
咀しゃく筋や表情筋が鍛えられ、言葉や表情が生き生きします。
●脳が活性化
脳の血流が活発になり、反射神経や記憶力、集中力などが高まります。
寝たきりや認知症の予防にもつながります。
●よくかむと、唾液でうるおう
唾液は1日に、1.5~2リットル分泌されますが、よくかむ習慣がなくなると減少します。
現代人は、唾液が減少気味と言われています。
唾液をたくさん出すためによく噛んだり、顎の骨の内側になる唾液線のマッサージ
をしましょう。そして、歯周病が悪化しないために歯科医院で現状把握をすることも大切です。
[参考文献]日本口腔健康協会~歯周病と全身の健康とかかわり
さて、今月の診療時間、日時についてですがゴールデンウィークのため、5月1-6日まで休診にいたします。
また、5月12日(土)13日(日)が大阪で研修のため(JIADS補綴コース)、その週の日時が変更し、12日(土)が休診となりますので、その振替として9日(水)が20時まで、11日(金)が17時までと変更になりますのでよろしくお願いします。
五月晴れの日々をどうかお健やかにお過ごしください。