歯周病と認知症との関係について

今月のコラムは歯周病と認知症との関係についてです。

認知症とはちょっとした物忘れから始まって、日付を間違えたり時間や人、場所を覚えられなくなったり、さらには妄想まで現れてしまうといった脳の病気です。
誰でも予防したい病気ですが、歯周病を防ぐことは認知症を予防することにもつながってくるのです。

歯周病対策を行うことで、脳卒中を防ぐことが認知症を減らします。

認知症には脳血管性とアルツハイマー型の2種類があります。
脳血管性認知症の原因は脳卒中です。
脳卒中は動脈硬化が脳の血管で起こるものですから予防には、動脈硬化を防ぐことが大切です。
歯周病菌が動脈硬化を促進しますので、歯周病を防いで動脈硬化のリスクを減らすことが脳血管性の認知症のリスクを減らすことにもなるのです。

歯周病がアルツハイマー型認知症にも関係しています。
アルツハイマー型認知症は、脳に萎縮が見られるのが特徴です。
CT画像検査での調査で残っている歯の少ない人ほど脳の委縮が進んでいたという報告もあり、さらにアルツハイマー型認知症の人の方が健康な人よりも残っている歯の本数が少なかったのです。
今では咬むことで脳が活性化されることもわかってきています。
咬むことで刺激が歯から脳へ伝わり、アセチルコリンという学習能力に深く関わる伝達物質が増加するのです。
この伝達物質の量が減るとアルツハイマー型認知症を引き落とす原因になると考えられています。

このように咬む力が弱まったり衰えたりすると脳への刺激が少なくなり、アルツハイマー型認知症の発症、進行の危険性が出てくるのです。

歯周病を予防して歯を多く残したり、歯を失ったところに良い入れ歯を入れるなどしてしっかり咬むということがアルツハイマー型認知症を防ぐことにも影響しています。

皆さん、歯周病を放置してはいけません。
歯科医院に定期健診に行き、まずはご自身の口腔内の状態を確認しましょう。